片側顔面痙攣(けいれん)
片側顔面痙攣(けいれん)について
片側顔面痙攣とは
顔の片方だけがぴくぴくと動いたり、ひきつれたりする状態を片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)といいます。
原因のほとんどは脳の深部で顔面神経に血管が接触し、神経が異常興奮することです。
最近、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病をお持ちの方は、動脈硬化によって血管が蛇行することにより、顔面神経に接触して片側顔面痙攣を発症しやすくなることがわかってきました。
そのほか、脳腫瘍や動脈瘤が顔面神経を圧迫することや、顔面神経麻痺の後遺症などによっても発症することがあります。
一般に、疲労やストレス、睡眠不足などがあると、症状が増強します。
片側顔面痙攣の症状
初期には、左右どちらかの目の周囲(上まぶたや下まぶた)が時折ピクピクしますが、進行すると連続して痙攣するようになり、口の周りの筋肉にも拡がってきます。
重症化すると、痙攣が持続するために引きつるようになり、顔が突っぱったりゆがんだりするようになります。
性別でみると約7割が女性で、特に中高年(50〜70歳代)に多くみられます。顔が引きつったりゆがんだりすることから、他人と会うことを避けるようになるなど、精神的な負担を感じておられるケースも見受けられます。
こんな症状はありませんか
下記のような症状がありましたら、早めに医師に相談しましょう。
- まばたきの回数が増えた
- 片目をつぶる
- 口元がピクピクする
- まぶたがピクピクする
- 顔が引きつったり、こわばったりして、ゆがんでしまう など
片側顔面痙攣の診断までの流れ
- 1.問診
- 上記のような症状を覚えて医療機関を受診すると、まず問診を受けます。具体的な症状や日常生活の様子などについて質問がなされます。
具体的な症状や日常生活の様子などについて質問がなされます。 - 2.検査
- 症状が出ている部位だけではなく、他の部位にも運動機能がないか、十分な診察を行います。
また、「軽くまばたきをする」、「まばたきを速く行う」、「強く目をつぶる」などの簡単な検査を行い、スムーズに行えるかどうかを確認します。
必要に応じて、頭部MRIなどの画像検査を行います。 - 3.診断
- 診断は臨床症状で行われますので、経験のある医師による診察を受けることが重要です。
特別な機器による検査で診断されるものではありませんが、片側顔面痙攣には、眼瞼痙攣、眼瞼ミオキミア、チック、顔面連合運動などといった症状が似ていて見分けにくい病気がありますので、それらとの鑑別を丁寧に行っていきます。
診断が確定したら、重症度の判定を行い、治療法を検討します。
片側顔面痙攣の治療
片側顔面痙攣の治療法には、ボツリヌス療法、薬物内服療法、および手術療法などがあります。
- ボツリヌス療法
ボツリヌス菌という細菌が作り出すたんぱく質(ボツリヌストキシン)を有効成分とする薬液をまぶたに注射して、目の周囲の筋肉の緊張をやわらげる方法です。 - 薬物内服療法
筋弛緩薬、抗てんかん薬、抗不安薬などを内服する治療です。 - 手術療法
血管による顔面神経の圧迫が原因である場合には、顔面神経と血管を離す手術を行う場合があります(微小血管減圧術)。