上肢痙縮・下肢痙縮
上肢痙縮・下肢痙縮について
上肢痙縮・下肢痙縮(手足の筋肉のつっぱり)とは
痙縮(けいしゅく)とは脳卒中の後遺症や頭部外傷、脊髄損傷などが原因による運動障害の一つの症状で、筋肉が緊張しすぎて手の指が曲がったままになったり、下肢が突っぱって動かしにくくなったりしてしまう状態のことをいいます。
脳卒中による身体機能の障害として片麻痺(へんまひ)が最も多くあらわれる症状ですが、その多くに痙縮を伴います。
痙縮による姿勢異常が長く続くと、筋肉が固まって関節の運動が制限され(これを拘縮といいます)、日常生活に支障が生じてしまいます。
また、痙縮がリハビリテーションの障害となることもありますので、痙縮に対する治療が必要となります。
当院では主にボツリヌス療法による治療を行っております。
「手の指が曲がったまま伸ばせないので手のひらに爪が食い込んで痛い」「肘が曲がっていて着替えがしづらい」「足首や足先が足の裏の方に曲がってしまうため歩けない(歩きにくい)」「かかとが地面につかないためタコができて痛い」「痛みでリハビリがつらい」など、つらい症状を少しでも和らげたい方はご相談ください。
上肢痙縮・下肢痙縮の治療
脳の病変そのものを治すことはできませんが、痙縮を抑制し運動をしやすくする治療が可能です。
現在、主な治療法には以下の5つがあり、これらに加えて理学療法や作業療法といったいわゆるリハビリテーションを併せて行います。
- ボツリヌス療法
筋肉に指令を出す神経に働いて、筋肉の緊張をやわらげるボツリヌストキシンを注射する方法です。
上肢・下肢の筋肉に直接注射することで関節が動きやすくなり、異常な姿勢や運動機能を改善させることができます。
見た目に姿勢や運動機能に変化がなくても、筋緊張による痛みが改善したり、眠れるようになったり、呼吸が楽になったり、介護が楽になったりなどいろいろな効果が得られることがあります。 - 薬物内服治療
緊張している筋肉をゆるめる働きのあるお薬を服用します。 - 神経ブロック療法
筋肉を緊張させている神経に、フェノールやアルコールなどを注射し、神経の伝達を遮断します - バクロフェン持続髄注療法
経口薬では効きにくい場合にバクロフェンというお薬の入ったポンプをおなかに植え込み持続的にお薬を脊髄周辺に送る方法です。 - 整形外科的手術療法
固くなって短縮した脚の筋や腱を手術して、延長させる方法です。